グリッドのエンジニア・青木栄太が「IEEE Conference on Games」(2023年8月21日〜24日、ボストン)にて開催されたゲームAIコンペティションに参加し、2つのコンペで優勝、2つのコンペで準優勝に輝きました! 青木は2013年から毎年国内・国外のゲームAIコンテストに参加しており、累計優勝回数は10回に上ります。 本ニュースでは、今回のコンテストの概要と、青木のコメントを紹介します!
年1回開催されるゲーム関連の国際学会。 ゲーム関連の研究発表と併せて、各種ゲームAIのコンペが開催されている。
◇ The 2nd DareFightingICE ・Blind AI Track 1位 ◇ Geometry Friends Competition ・Circle Track 1位 ・Rectangle Track 2位 ・Collaborative Track 2位
立命館大学主催の格闘ゲームAIコンペティション。 人間ではなく、AIにゲームを操作させ、ゲームの勝敗を競う。 キャラクターの位置や、どの技を出しているなどの情報は一切もらえず、 与えられる情報は「音」のみ。言い換えると、目隠しして格闘ゲームをプレイしている状態 なので、状況判断が非常に難しい。
二次元上の物理演算アクションゲームのAIコンペティション。 各モードで指定された物を動かし、なるべく多くのダイヤモンドをなるべく速く集めることを目的とする。 こちらはCircleやRectangle、壁やダイヤの位置、速度などの情報がもらえる。 AIの思考中もゲームは進行し続けるため、AIの探索結果とのずれが生じやすい点に難しさがある。
競技内容としては、様々なアルゴリズムを組み合わせながら、与えられたゲームを操作するAIを作り、その勝敗を競います。わかりやすく言うと、“事前に書いたコードによって、AIがその場の反応を見ながら戦う“ということです。
そうですね、DareFightingICEは入力が音なので、運営側は音を入力とした深層強化学習の使用を意図していると思います。実際、音と内部データの相関関係を分析するなどもしてみましたが、強化学習を利用しない方針がよいと判断し、ルールベースでの実装を行いました。 Geometry FriendsはビームサーチやA*のような探索アルゴリズムを駆使しています。他のコンテストでも、探索アルゴリズムを中心として進めることが多いです。 有名なアルゴリズムの利用以外にも、問題固有の工夫を入れていたりして、そのオリジナルの部分が大事だったりします。
他のコンテストにも出場しているので、優勝者のやり方を見て、アルゴリズムを学び、自分のスキルを昇華させています。例えばアクションゲームなのか、パズルなのかによっても、どういう問題にどういうアルゴリズムが適用できるのかが違うので、それぞれの大会での違いや課題を確認して復習しています。 引き出しを増やすには、たくさん出場する必要があります。でもその引き出しをちゃんと使えるようにするためには確実にそのスキルをモノにするための理解が必要なので、経験と同じくらい復習は大事です。僕は復習に重点を置くタイプですね。
例えば1週間のコンテストに出て、その優勝者のやり方を再現して内容を咀嚼するのに1ヶ月かかったこともあります。
さらに、再現したプロセスやポイントを分かりやすくブログで解説もすることもあります。
そうですね、最初に出た時は、単純にプログラミングが好きなだけだったので、アルゴリズムは全く知らない状況でした。その時は運よく決勝に行けた感じで、まわりとのレベルの差を痛感させられました。それで大会で勝てるようになりたいと火がつき、本格的に練習しました。ゲームの種類に応じて多様なアルゴリズムが必要になり、習得をして、ということを少しずつ積み重ねていった結果です。でもこれから身につけるアルゴリズムはまだまだあります。今も勉強中です。
そうですね。グリッド入社前の最初のカジュアル面談の段階で、こういうアルゴリズムを使ってこういう業務をやっているというのを聞いて、これは既存のものよりも別のアルゴリズムの方がうまくいくんじゃないかと感じました。それはこれまでの大会で課題に適した多くのアルゴリズムを身につけてきた経験があったからだと思います。その知識を業務にも活かしたいと思って入社しました。 入社して実際に業務に携わる中でも、今までコンテストで培ったノウハウを活かせていると思います。
2013年からコンテストで入賞し続け、2016年からは毎年何かしらの大会では優勝しているので、今後も年一回は優勝したいです。
ゲームA Iコンテストでは、“thunder”として活躍している青木さん。アルゴリズムを体系立てて学べる参考書がなかったことから、自らコンテストの知識を1冊の本にまとめて出版するなど、精力的に活動を続けています。
苦手なことが多く苦労した少年時代を過ごした経験もあるという青木さん。負けず嫌いな性格が成長を続ける原動力なのかもしれません。料理やお菓子作りにも自信があるというチャーミングな一面も見せていただきました。今後ますますの活躍を期待しています!
グリッドは今後とも高い技術力をもった社員の育成を推進してまいります。