株式会社グリッド(本社:東京都港区、代表取締役:曽我部完、以下「グリッド」)は、鉄道・海上・陸上輸送を一元管理し、マルチモーダル輸送として物流全体の効率化を実現するシステム「ReNom multiModal」の開発を開始したことをお知らせいたします。

 昨今、物流業界では2024年4月から施行されるトラックドライバーの労働時間規制強化に伴う「2024年問題」により、トラック輸送能力の減少が大きな課題となっています。さらに、CO2排出量の削減といった環境課題にも直面しており物流の効率化が喫緊の課題です。

 こうした課題を解決するためには、トラックによる単一の輸送手段だけでなく鉄道・海上・陸上といった全輸送手段を活用する「マルチモーダル」による物流の効率化が期待されております。また、2023年10月に政府による物流革新緊急パッケージが発表されたことで、今後より一層の物流業界全体でのマルチモーダル推進が見込まれています。

 しかし、「マルチモーダル」の実現には、モーダルシフトによる「コストの増加」、輸送手段によって荷崩れや荷擦れが生じる「品質の低下」、悪天候や事故で発生する輸送障害による「納期管理」の難しさといった複数の課題があります。これらの課題を解決しながら効率的な輸送を実現するには、複雑かつ膨大な組み合わせの中から輸送手段の使用比率やルートを決定する必要があるため、人手によって輸送手段を一元管理し、最適な輸送計画を立案することが困難な状況にあります。

 こうした課題を解決するために、グリッドでは、内航船・外航船の配船計画やトラック輸送、鉄道輸送計画といった個々の輸送計画の最適化に関する豊富なノウハウを活かし、デジタルツイン・シミュレータとAI技術を用いて鉄道・海上・陸上輸送を一元管理することで、全輸送手段を用いて物流全体を効率化する総合物流システム「ReNom multiModal」の開発を開始しました。

 「ReNom multiModal」では、デジタルツイン・シミュレータ上に各生産拠点・備蓄拠点・需要拠点とともに全輸送リソースを緻密に再現し、マルチモーダル輸送のシミュレーションを可能とします。さらに、物流最適化に適したAIを用いることで複雑なマルチモーダル輸送計画の最適化を実現します。

「ReNom multiMODAL」利用イメージ

主な特徴

理想的な輸送比率の年間設計

 デジタルツイン・シミュレータを用いて、年間の輸送リソース計画を設計することが可能です。各輸送手段の利用割合をシミュレーションすることで、中長期的な物流コストを計算することが可能となります。

輸送計画をAIで自動化・最適化

 AIが出力する輸送計画では「品質」「納期」を考慮し、かつ全ての制約条件を守りながらCO2削減、輸送速度、物流コストと複数の目的を最大化、最小化するマルチモーダル輸送計画をAIが自動立案します。これにより、単独での輸送手段では成し得なかったコスト削減やCO2削減、乗務員の労働効率化を実現します。また、共同配送する場合でもシミュレーションを行い、輸送コストや人件費、CO2排出量の観点で妥当性を検証し、より効果的な共同配送計画の実現が可能となります。

輸送課題を可視化し、次回に向けてAIが改善

 AIが策定した輸送計画の実行結果を可視化することが可能です。積載率や到着時間、コスト結果を可視化し、利用者が評価することで、次回AIが策定する輸送計画の精度を常に向上させることが可能となります。

既に、データ検証において効果的な運用ができることを確認しており、今後はマルチモーダルによる効率化を目指す荷主企業との協業を通して実運用を目指します。 グリッドは、マルチモーダル実現に向けた社会基盤の構築や物流人材不足の解決に努めることで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

※物流革新緊急パッケージ

2024年問題解決に向けて、物流効率化のために即効性のある施策を取り纏めたもので、2023年10月6日に政府が発表した。モーダルシフト施策としては、今後10年程度で鉄道および内航船の輸送量を倍増する施策が含まれています。